昨今の人出不足の拡大に伴って、今まで以上にアウトソーシングという考え方が注目を集めるようになってきました。

昔ながらの考え方であれば、各ポジションに正社員として雇い入れて業務を割り振っていく、いわゆる内製が主流であり、期間が限られているまたは軽作業を有期雇用や派遣でまかなうというやり方が一般的だったと思います。

現在も多くの企業がこの考え方を持つ中で、やむを得ずアウトソーシングに切り替えたり、逆に戦略的にアウトソーシングを活用したりする企業も多く見受けられるようになりました。

 

そこで本記事では、アウトソーシングの注意点とその活用方法を考えていきたいと思います。

アウトソーシングとは

簡単に言えば、ある特定の業務を切り出してそれを得意とする他の会社に業務遂行させることです。いわゆる「業務委託契約」を締結して、期限内に成果物を求めたり(請負)、定められた期間の工数を使う(委任・準委任)ものを指します。

また、大きな括りにおいては派遣もアウトソーシングに位置付けられると考えられます。社員が担っていた特定の業務を他の会社に所属する「人」に業務遂行させることでは同意だと思います。

要するに、既に存在している業務を他社に渡してしまうことを総称してアウトソーシングと呼んでいます。

コンプライアンス

IT業界においては、古くからシステムエンジアリングサービス(SES)という名のアウトソーシングが当たり前に行われています。

最近はかなり叩かれるようになってきましたが、上述の業務委託契約を乱用して奈落の底まで繋がっている多重請負という問題が排除されずに長らく横行しているのが実態です。

この多重請負の何が悪いのかは、長くなるのでここでは割愛しますが、小手先で法律の解釈を捻じ曲げて派遣法から逃れるということが「商慣習」として行われています。

 

発注者としてはアウトソーシング先の会社が勝手にやったこととして知らなかったことにするケースが多く、尼崎市のUSB紛失事件が記憶に新しいところです。

百歩譲って発注者が罰せられることは無かったとしても、そもそもの自社の業務が得体の知れない誰かの手によって遂行されているというのは、アウトソーシングの手法として間違っていると言わざるを得ないと思います。

 

大前提ですが、関係する企業と人が法令順守のもとに業務を遂行することは絶対です。

事業者の選定基準

法令順守が出来ない事業者は端から排除するとして、アウトソーシングを生業にしている企業は数多あります。どの企業を選択するかは、当然ながら予算を含めた各社の状況や任せたい業務内容によって異なるところだと思いますので千差万別です。

そんな中でも共通する事業者の選定基準を挙げてみたいと思います。

 

  • 窓口となる業務遂行責任者が一定の知見を有しているか
  • 窓口となる業務遂行責任者が誠実であるか
  • 実務者管理を含むガバナンスが利いているか
  • 機密保持を含むセキュリティポリシーが明確か
  • レスポンスが早いか
  • 提示される資料の精度(誤字脱字含む)は一定レベルか

 

冒頭で派遣についても触れましたが、アウトソーシングと横文字を並べてみたとしても、行きつく先はどこかの「人」に依存するものです。

人が介在する以上は、発注者側と同等もしくはそれ以上のガバナンスとポリシー、信用が無ければ業務を渡すべきではないと考えます。

メリットとデメリット

アウトソーシングを活用する最大のメリットは、やはり自社内での人繰りを検討する必要が無くなり、且つ一定水準の成果が得られることだと思います。

更に細かいところでは労務を含めた管理監督の責任が無くなること、(うまく行けば)正社員に任せるよりも成果や精度が高くなることなどが挙げられます。

 

一方、デメリットとしてはやはりノウハウが蓄積されないことが一番大きいと思います。どのような業務においてもノウハウは存在しており、それらが手順書や記録に残されることで企業内で承継されていくことが理想ですが、アウトソーシングした瞬間からそれらはアウトソーシング先に蓄積されていくことになってしまいます。

まとめ

アウトソーシングは、業務を丸ごと渡してあとはお任せということが理想ではありますが、それではノウハウと言う名のいい意味でのオリジナリティが無くなっていってしまうことが懸念されます。

事業者選定基準には敢えて記載しませんでしたが、あたかも正社員の一員のように伴走型で業務を遂行してくれて、且つそこで蓄積されたノウハウを逐次共有してくれて、低価格で精度が高い会社があればすぐに依頼するべきだと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

少しでも参考になれば嬉しいです。

関連記事