企業内で利用されているITシステム全般を管理したり運用したりするIT人材のことを、「社内SE」や「コーポレートSE」と呼んでいます。

昨今のDXブームにより、社内SEの重要性が見直されつつある半面で、我が国のデジタル化推進にあたっては2030年にIT人材が79万人も不足するとの予測が出されており、各企業における社内SEの確保と育成が事業の継続性において非常に大きな課題になっています。

そこで本記事では、IT人材の採用についての実態を主観も交えてお伝えします。

IT人材の転職市場

2022年3月に厚生労働省から発表された内容によると、IT人材の有効求人倍率は3.2倍だそうです。

これでも十分に高い数字ですが、集計方法が異なるとはいえコロナ前の2019年末においては、有効求人倍率が7倍とも8倍とも言われていました。

これは、IT産業が成長していることも然ることながら、国内におけるIT人材の不足が顕著に表れている証拠です。

ここに付随して、今もなおIT人材の転職市場においては求職者優位な「売り手市場」が続いており、雇い入れ時の給与の高騰が避けられない状況になっています。

社内SEの求人に応募する心理

一定のスキルを保有するIT人材のほとんどは、(プライムかサブコンかは別にして)システムインテグレータを頂点とした、あらゆるプロジェクトを渡り歩くことによって経験を積んでいきます。

その経験を盾にして、IT業界の中で所属する会社を移ることによって、給与を上げていくという流れが完成しつつあり、IT人材の獲得競争は激化の一途を辿っています。

 

そのような状況において、経験を保有するIT人材が一般企業の社内SEの求人に目を向ける理由はいくつかあると思います。

 

  1. 大企業又は注目企業の一員になりたい
  2. 分野に縛られず幅広いスキルを身につけたい
  3. 競争相手がいない中でチヤホヤされたい
  4. 組織を持ってみたい

 

当然ながら、これが全てだとは言いませんが、相対的に見て自己満足や承認欲求を満たすことに偏っているように感じています。

従って、給与額も然ることながらミッションや地位を明確にしたうえで雇い入れなければすぐに離職してしまうリスクが生じます。

IT人材への期待とギャップ

新たに社内SEを採用するにあたって、「ITにまつわることの全て」を任せたいと思いがちですが、そのようなスーパーマンはIT業界の中でも皆無です。

繰り返しになりますが、IT人材はプロジェクトと呼ばれる業務単位の中で経験を積んでおり、そのプロジェクトは各IT分野によって分類されています。

これを定義したものの一つに、IPAが管轄する「IT Skill Standard」というものが存在しますが、それぞれの分野が縦割りで表現されており、延いてはそれぞれが職種として表現されています。すなわち、経験分野を増やすことは職種を転換することを意味しています。

例えば、企業セキュリティを強固にして、快適なネットワークを作り、パブリッククラウド上に基幹業務システムを搭載し、SFAのコードを改変してカスタマイズし、従業員のパソコンとスマホも管理して欲しいということが「社内SE業務」であったなら、IT業界で6職種以上の経験があり、且つ全ての職種において一人称で対応出来るほどのスキルを要求することになってしまいます。

冒頭の通り、そのようなスーパーマンはいません。

社内SEのアウトソーシング

ここまででお伝えした通り、一定のスキルと経験を保有するIT人材を独自に採用することは非常に困難なことだとお分かりいただけたと思います。

それでも社内SEを増員しないといけないという企業で採用の次に検討されることが、社内SE業務のアウトソーシングです。

IT人材の派遣サービスやシステムエンジニアリングサービス(SES:業務委託型)を提供する企業は非常に多くあるので選び放題です。と言いたいところですが、その企業に所属するIT人材が要求するスキルを満たしているか、希望する時期から参画出来るのか、の部分が非常に高いハードルになっていて、実態としては全ての要求を満たす企業を探し出すことは、採用と同じくらい苦労することになります。

まとめ

これから先、IT人材の需給バランスは乖離していく一方です。

比例してIT人材の獲得は非常に困難な状況に陥ると共に、企業のデジタル化、DX化に遅延が生じることとなり、事業競争力の低下に繋がり兼ねません。

費用や要件の緩和を検討のうえ、早いうちにIT人材の確保に動かれることをお勧めします。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

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