


最近は、テレビコマーシャルを観てもYoutubeを観てもSaaS系のデジタルツールの広告が非常に目に付くようになっています。消費者の購買心理として「知っているもの」を選びがちですが、果たしてデジタルツールも認知度の高いものを選べば安心なのでしょうか。
そこで、本記事ではデジタルツールを選定する前に考察すべきことをまとめます。
デジタルツールとは
簡単に言えば、紙によって媒介されていたビジネス上のプロセスを、インターネット(または企業内ネットワーク)を介した「デジタル」の世界で実現できるようにするものと定義されます。
昨今のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みとして「紙べらし」が第一歩として謳われているなかで、ここ数年でものすごい数のデジタルツールが生まれています。
ただ、パソコンやインターネットそのものを振り返ってみれば、ワープロや表計算が使えるようになったことで、紙への手書きが激減しましたし、世界中に張り巡らされたネットワーク上にある情報をブラウザを使って収集出来るようになったことで、自らの耳で聞いて紙にメモを取るという行動も激減しました。
これらもある意味で、「0」と「1」しか存在しない「デジタル」の世界で作られたツールと言っても過言ではないと思います。
デジタルツールの普及
前述の通り、デジタルツールという概念を広義で考えれば、今となってはパソコンもインターネットも全国津々浦々で利用されていて、もはや社会インフラと呼ぶに等しいほどに欠かせないものになっています。
にも関わらず、なぜ今になってデジタルツールが乱立し、カオスマップと呼ばれるようなものが出てきてしまうのかというと、やはりパソコンやスマホなどのデバイスの高性能化と、インターネットの高速、高品質化が一番の要因だと思います。
現在では、クラウドサービスの種別として「SaaS(Software as a Service)」と呼ばれるようになっていますが、それ以前までは「Webアプリケーション」という呼び名で同じようなものがいくつもありました。
繰り返しになりますが、Webアプリケーションの時代はインターネットの通信速度とパソコンのスペックがアイデア実現に追い付かず、ここにきてようやく足並みが揃ってきたというのが正しい理解だと思います。
デジタルツールの種類
種類に関しては、一昔前のパッケージソフト(売り切りソフトウェア)と何ら変わらないと思います。
要するにモノを買うかインターネット経由でサービスの提供を受けるかだけの差です。
念のため代表的な種類を記載します。
【経営、マーケティング、営業系】
- CRM : Customer Relationship Management(顧客関係管理)
- SFA : Sales Force Automation(営業支援)
- MA : Marketing Automation(マーケティング自動化)
- BI : Business Inteligence(ビジネス分析)
【業務プロセス系】
- 電子決済システム
- 電子契約システム
- ワークフローシステム
- Web会議システム
- ビジネスチャットシステム
これらをひとまとめにして提供するものをグループウェアと呼んでいます。
上記ひとつひとつに数えきれないほどの製品があるうえに、グループウェアとして全て提供するサービスもあり、選ぶ側としてはまさにカオスな状態に陥っているのが現状です。
デジタルツール選定のポイント
まずは手順から挙げてみます。
- デジタルツール導入担当者を決める
- 経営層、部門長、実務者に実現したいことと困りごとをヒアリングする
- 経営や事業観点からデジタルツール導入分野の優先度を付ける
- 高優先度の課題を解決出来るデジタルツールの情報を収集
- メーカー、ベンダーから説明を受ける
- 課題解決の実現性の高いデジタルツールを絞る
- トライアル利用を開始
- 見積もり取得および導入決裁
- 環境設定
- デジタルツールの利用開始
各項目の細かい説明は割愛します。何を差し置いても「1. デジタルツール導入担当者を決める」に話は尽きると思います。
経営者や役職者、多忙な実務者に適切なヒアリングが出来るコミュニケーションスキル、畑違いの業務における課題を的確に理解するビジネススキル、情報過多な現代における情報収集スキル、メーカーやベンダーのおだてに乗らない冷静さ、費用対効果を含めた決裁者への説明スキル。
言ってしまえば、これら全てがデジタルツール導入担当者に求められるスキルです。最近で言うところの「デジタル人材」もここまで出来ることが理想だと思います。
ほとんどの企業は、デジタルツールを導入する以前に「1. デジタルツール導入担当者を決める」で失敗してしまうのが実態です。
話を一番最初に戻しますが、あれ知ってる、これ売れてる、それ良いらしい、じゃあどれにするかを合理的且つ適切に考えられるデジタル人材を確保することが、デジタルツールを選定するうえでの最重要で最低限のポイントになります。
まとめ
多くのデジタルツールが世の中に生まれたことによって、業界や業種を問わず細かい課題も解決出来るようになってきており、非常に便利になりつつあります。
しかし、数が多いうえに情報が錯綜しているが故に、本当に使いたいものに辿り着くことが難しくなっているのも実情です。
残念ながら、使いたいものや課題解決に繋がるものを自動で探し出してくれるデジタルツールは存在していません。
ハードルは高いですが、これらを実現出来る高度なデジタル人材を確保されることをお勧めします。
課題解決に直結する製品選定をお手伝いします。