


世の中にはありとあらゆる資格が存在していて、資格を保有していなければ出来ない仕事もたくさんあります。
特にIT分野においては、公的資格、ベンダー資格を合わせると世界中に数千種類は存在するのではないでしょうか。しかし、ITに関する職種において資格を保有していなければ出来ない仕事というのは皆無です。
にも関わらず、多くのIT技術者は資格勉強や資格取得に日々の時間を費やしています。
そこで本記事では、IT資格の必要性とその価値について考えたいと思います。
IT資格の種類
まずは、IT資格にどのような種類があるのか代表的なものを抜粋してみます。
IT全般スキル
- ITパスポート試験
- .comMasterADVANCE
- 情報活用試験(J検)
- 基本情報技術者
- 応用情報技術者
ネットワーク
- CCNA
- CCNP
- JNCIS
- HCIA
クラウド
- AWS Solutions Architect Associate
- Microsoft Azure Administrator
- Microsoft 365 Certified
サーバ、データベース
- LPIC
- ORACLE MASTER Silver Oracle Database
言わずもがなですが、これ以外にも各分野ごとに似たような資格が複数存在しているうえに、同名資格でも難易度によってレベル分けがされているものも存在します。
今回は、どの資格がどういうものなのかという説明は割愛しますが、結局のところどれを取得すればどれほどの価値が見出せるのか分からなくなってしまうということが上記の抜粋だけでも表れています。
IT技術者のスキル表現
データセンターでの極寒作業やラックマウントなどの肉体労働はさておき、IT技術者は代表的な頭脳労働に位置付けられます。
ITスキルと一言で表現されることが多いですが、実は保有しているITスキルの高低を日々の業務の中で明確に表現する術が無いと言っても過言ではありません。
IT技術者の価値は往々にして、「経験値」や「記憶量」を軸として評価されますが、その根拠を示すことが出来ないが故に、本人はいくらでも誇張出来ますし評価者も過大評価してしまうことが多々起こっています。
その「ITスキル」を第三者に認めて貰うためのツールがIT資格であると考えています。
資格が先か経験が先か
新型コロナによる経済活動の変化によって、安定している(ように見える)IT技術者という職種に目を向けられる方がかなり増えました。
そのような方々と話をしていると、IT業界に入って資格を沢山取ることに注力したいと仰る方が一定数おられます。
すなわち、資格を取得することでそれに付随する仕事が出来るようになると思われている方が非常に多いのです。
前項のとおり、IT資格は「経験値」と「記憶量」を推し量るためのツールです。
それがいつの間にか「記憶量」が一定水準に達していれば「経験値」が積めるようになると考える方が業界内外問わず増えてきているのが現状です。
繰り返しになりますが、IT資格は仕事をするために取得するのではなく、仕事をしてきたことを証明するために取得するものです。
IT資格に対する評価
結論、IT資格を保有していることそのものには価値は無いものと考えます。重要なのは、その資格を取得するに至った経験値がいかほどのものかということです。堂々巡りになりますが、経験値が誰が見ても理解出来て凄さが分かるのであれば、それに対する資格の取得は不要ということになります。
この根本の考え方を抜きにしても、年々IT資格に対する信頼性は低下の一途をたどっているのも事実です。難易度の低い資格であればあるほど「勉強」だけで取得出来るうえに、試験問題が流出して虎の巻がそこかしこで拾える状態に陥っていて、資格運営元とのいたちごっこ状態です。
スキルレベルが低いものは経験あるのみ、スキルレベルが高いものは資格で証明すべきが現時点においては正しい在り方かと思います。
ちなみに、非IT企業における社内SEはどれだけ難易度の高い資格を取得しても評価されることは少ないと思います。何故なら評価者がその資格がどれほどのもので、どれだけの経験を要するかを知らないから。非IT企業におけるIT人材の不足が叫ばれるなか、このギャップは実は致命的なのではと考えます。
まとめ
IT資格は仕事を貰うための免許ではありません。未経験分野における資格取得はむしろ資格の価値を下げるだけなのでお勧め出来ません。
ただし、資格学習を通じて得られた知識があるからこそ、Tipsに記載された単語の理解が及んだり、ベテラン技術者との会話が成り立ったりといった効果はあると思います。
いずれにしても資格を取得することをゴールにするのではなく、資格取得を通じて何を得るか、何を表現するかを焦点に学習を進めることが一番だと考えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでも参考になれば嬉しいです。